インタビュー
Vol.3 シャルル・バタイーさん&セヴラン・ミレーさん
「桜井こけし」へのまなざし

日本の伝統的な手仕事とフランス現代アートとの邂逅
フランス人アートディレクターとアーティストに鳴子に滞在していただき、
一緒に新しいこけしを生み出す取り組みも行っています。
これまでにないユニークなこけしシリーズが出来上がりました。
――桜井こけしとのコラボレーションはどのように始まったのですか?
セヴラン:シャルルのブランド「Dejima」からの提案がきっかけです。
それまでこけしについてほとんど知りませんでしたが、その多様さや洗練された造形、小さな木製の人形が持つ強い存在感に魅了されました。
自分はスクリーンプリントや彫刻などで人物像を多く制作しており、それらの作品との共通点も感じました。

――コラボを経て「桜井こけし」にはどのような印象を持ちましたか?
セヴラン:フランスでは六代にも渡る職人の系譜を持つ人は稀です。
昭寛さん、尚道さんそれぞれの世代が自分たちの感性を吹き込んで、こけしに新たな命を与えている姿勢に感銘を受けました。
シャルル:私が最も感動したのは、尚道さんがセヴランのドローイングを自らの描彩技法に見事に置き換え、その本質を失うことなく非常に繊細に表現していた点です。
――ユニークな作品が出来上がりましたね。
セヴラン:最も重要だったのは、自分の芸術的な感性と桜井こけしの世界観との間で、伝統的なこけしの美意識を損なわず、真のバランスを見出すことでした。
彼らの所作やそこに宿る簡潔さからインスピレーションを受け、一つひとつ独自の個性を与えながらも、統一感のあるこけしのシリーズを生み出そうと心がけました。
シャルル:アーティストのヴィジョンと職人の手仕事が一体となって結実しています。これこそがこのコラボレーションの核心でした。

Charles Bataillieシャルル・バタイーさん
フランスで日本の工芸品を扱うショップ『DEJIMA』を運営。この企画のアートディレクター。
Séverin Milletセヴラン・ミレーさん
リヨン在中のアーティスト兼イラストレーター
